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teena RED book Girls' Band Edition

ねごと

“これ、ときめくな!”って思ったら、
まず飛び込んでみるのが大事です。

楽器を始めようと思ったきっかけは何ですか?
蒼山幸子:最初バンドを組んだ時はドラムだったんですけど、もともとピアノを小学1年生ぐらいから習ってたんです。いわゆるクラシック・ピアノだったので基礎練習が本当に苦手で、あまり好きではなかったんですよ(苦笑)。でもそのおかげで楽譜が読めるから音楽がどんどん好きになっていって、中学校に入って興味のあった打楽器を始めて。その頃から歌うことも楽しいなって思い始めて、バンドがやりたいって思ったんです。でも周りの友達は“アンプって何?”みたいな感じだし、私自身もバンドのやり方がわからなくて……軽音部もなかったですし。それで高校は軽音楽部のあるところを受験して、軽音部に入りました。
よく聴いてたバンドやミュージシャン、影響受けた人等について教えてください。
蒼山幸子:高校の時は、邦楽だとNUMBERGIRLさんとか、チャットモンチ―さん。チャットモンチ―さんが出てきた時は、“こんなにカッコいいガールズ・バンドがいるんだ”って衝撃を受けたのを覚えてます。最初はGO!GO!7188さんとかをコピーをしてて、その後、フラテリスとかアークティック・モンキーズ、ヤーヤーヤーズなんかのいろんな洋楽バンドも1曲ずつカバーしたりとか。いろんなのをやってましたね。
最初はコピー・バンドでいいと思ってバンドを始めたそうですが……。
蒼山幸子:最初はプロを目指そうなんて考えてなくて。だからといって、ずっとコピー・バンドでいようとは思ってなかったんですけど……。『閃光ライオット』っていうイベントが、バンド組んで2ヵ月くらいであったんですけど、演奏も上手じゃないし曲もない中、高校3年生だし、軽い気持ちというか思い出作りだっていって応募したんです。募集要項にカバー可って書いてあったんですけど、カバーだとたぶん審査通らないだろうからオリジナルを作ろうと思って。で、作ったのが「ループ」って曲で、結果的にその曲がファイナルまで連れていってくれたんですけど。そういう経緯だったので、本当に『閃光ライオット』がなければプロになってなかったなと思います。
誰が『閃光ライオット』応募しようって言い出したんですか?
蒼山幸子:だいたいそういうのを言うのは、ギターの(沙田)瑞紀なんですよ。まあ、その頃は瑞紀が一番、洋楽とか知ってたんで、コピーしたいっていう曲を聴かせてくれたりしてて。私は言葉を聴くのが好きなので、洋楽より邦楽で、瑞紀とは好みが違ってたんですけど、“楽しそうだし、やってみよう”みたいな感じで、乗っかってやってましたね(笑)。
瑞紀さんは一度脱退して、その後戻ったっていう話ですが……
蒼山幸子:そうですね。ねごとの前身バンド……ベースだけ今とは違うメンバーだったんですけど、高校生の女子だったんで、いろいろあって(瑞紀が)脱退して、その後バンドも解散しちゃったんですけれど、解散して1ヵ月後くらいに瑞紀から計画書みたいなメールが来たんです。“幸子はボーカル、(澤村)小夜子がドラム、私がギター、(藤咲)佑がベースで、バンドやります”って。そういう意味では、すごいマイペースだけど、推進力があるというか、自分とはまったくタイプが別なので、そこがなんか音楽作ってて面白いというか、化学変化が起こってるのかなって今は思ってます。
他のメンバーをどういう風に見ていますか?
蒼山幸子:小夜子はドラマーとしても才能があると思うし、身体能力も高いし、いろんなことに対してすごく勘がいいんですよね。例えば、空気を読んだりすることだったりとか。バランス感覚に優れてますね。あと、MCでは天然な感じですけど、ストイックな部分がすごいあるので、レコーディングの時は、最後の最後までしっかり詰める……気質的にはアスリートっぽいというか、メンバーの中で一番プロっぽいのかもしれませんね。だから信頼を置けるというか、“小夜子は大丈夫”っていつも思える安心感があります。佑はリーダーなんですけど、表立って引っ張っていくというよりは、みんなをふんわりさせてくれる感じのリーダーです。一番女の子らしいし、いつも純粋で、“みんなのためだったらやるから”っていう感じで、ちょっとたどたどしいところもあるんだけれど、そこがほわっとさせてくれるというか。お花みたいな存在ですね。瑞紀は、トラック作ってたりもするんで、そういう意味では引っ張っていってくれたりするし、スタジオの作業とかでも“これやろう”って言い出してくれるのが瑞紀です。
蒼山さん自身は、バンドの中でどういう存在ですか?
蒼山幸子 :みんなには、“家族で例えると、小夜子がお母さん、佑がお姉さん、瑞紀はけっこうお転婆なので末っ子気質で、幸子はお父さんだね”って言われます。でも、自分でもそうだと思います。私は曲作ってる時、メンバーに対して、こうしてああしてって、あんまり言わないんですね。って言うのは、それぞれのプレイとかやることを信頼してるのもありますし、やっぱり役割っていうものがあるんで。そういう意味では、どっしり構えてというか、自分がやるべきことに向かいたいなという気持ちが強いですね
プロを意識したタイミングというか、この業界で生きていこうと思ったのはいつ頃ですか?
蒼山幸子:『閃光ライオット』が終わってから大学受験までの間はバンド活動を休止してて、大学進学するかもってタイミングでキューン・ミュージックさんに声をかけていただいて、最初はびっくりして……。まったくプロの世界がわからなかったというか、メジャー・レーベルのすごさもその時は未知でしたし……。ただ、音楽をやりたいという気持ちはすごいあったし、“この4人でバンド続けたらもっと面白い曲書けるかも。もっといいライブができるかも”っていう確信はあったので、“じゃあ、やってみよう”と思ったことが1個目のターニングポイント。でも正直、ファースト・アルバム(『ex Negoto』)が出るまでは、まだ自分たちが(音を)鳴らしているのが楽しいって気持ちが大きかったと思うんですね。だから、その時にどういう風に周囲から期待をかけられていたのとか、見られていたのかっていうのは、まったくわからないままやっていたので、やっぱりその現実にしっかり向き合わなければいけないと思ったのは、ファースト・アルバムを出した後くらいからですね。で、やっぱり、(音楽が)好きって気持ちだけじゃお客さん離れていっちゃうし、何が足りないんだろうってバンドで話し合うようになったのが、前作のアルバム(『5』)くらいからですね。
自分たちの曲が初めてテレビやラジオから流れてきた時は、どんな気持ちでしたか?
蒼山幸子:自分事じゃないみたいでしたね、気持ちとしては。だから逆に、すごく舞い上がるってことはなかったんですよね。“あー、流れてるな”って感じで。
今はどういう感じですか?
蒼山幸子:変わりますね、やっぱり。今のほうがバンドとして責任を持っているというか、作った曲を聴いてほしいと思って1曲1曲世に出してるんで、流れてきた瞬間というのはすごいうれしいし、やっぱり今は広げていきたいっていう気持ちがあるので。この前もみんなでコンビニ行ったら「黄昏のラプソディ」が流れてきて、すごく嬉しかったですね。
これまでバンド活動をやってきた中で、笑えるエピソードとかあったら教えてください。
蒼山幸子:マイペースな瑞紀が、本当によく忘れ物をするんですよ。クールに見えるんですけど、一番おっちょこちょいなんで(笑)。一番びっくりしたのが、ミュージック・ビデオの撮影でギターを忘れてきたっていうのがあって。すごいですよね。ちょっと思考回路がわからない(笑)。本当にそういうことが多々あって、この前も瑞紀の最寄駅からすぐ近くの場所で打ち合わせがあったんですけど、待ち合わせの時間になって、“今、駅のホームにいます”っていうLINEのメッセージがきたりとか……あとは、アーティスト写真撮影の前に自転車でこけて、アゴ打っちゃったりとか。その時は、メイクさんに必死で直してもらいましたけど。
蒼山さんが使っている機材の一部が『閃光ライオット』の副賞で買ったものだって話を聞いたんですけど、本当ですか?
蒼山幸子:RolandのJUNO-Dがそうですね。『閃光ライオット』の副賞で、10万円分のミュージックギフト券をいただいたんですよ。で、他のメンバーは自分の楽器だったんですけど、私はその当時、キーボードをお借りしてたんですね、知り合いのミュージシャンに。なので、“じゃあ、幸ちゃんのキーボードを買おう”みたいになって、みんなで新宿の楽器屋さんに買いに行きました。
JUNO-Dを選んだ理由は?
蒼山幸子:歌いながら演奏するので、とにかく切り替えが簡単なのがいいっていうのが一番で。そんなに機械詳しくないというか、あんまり機械に頭を使いたくないというか、とにかくシンプルに操作ができるのがいいなと思って、JUNO-Dにしましたね。
今、他に使っている機材は?
蒼山幸子:今はRolandのFA06というのを使ってます。あと、レコーディングでは、Nord Leadとか使ったりしてますね。
歌いながら弾くのって、なかなか難しいと思うんですけど、その辺は最初からできていたんですか?
蒼山幸子:どうですかね……。でも高校生の時、バンドをやりながら弾き語りもやっていたので、弾きながら歌うことに関しては、ちょっとは慣れていたかもしれないですね。あと、ねごとの曲はキーボードでもリズムが大事な曲が多くて、リズム感がないと成立しないというか。そこは、ドラムをやっていて良かったなと思ってます。
これから楽器を始めようと思っていたり、まだ始めて間もないという人たちに、お薦めの練習方法があったら教えてください。
蒼山幸子:コピーしたい楽曲を見つけることですかね。私の場合、基礎練習をずっとしていると飽きてしまうというところがあって……でもこの曲を再現したいと思う気持ちは力になるから、そういう曲をまず見つけて、最初は下手でいいから、徐々に(楽曲を)モノにする喜びっていうものを自分の中に見つけられると、自ずと技術はついてくるのかと思っていて。あとは、録音して聴いたりするのもいいかなって思います。どこができてないのかもわかるし。
男女混合バンドは考えずに、最初から女の子だけでやりたいと思って結成したんですか?
蒼山幸子:たまたま集まったメンバーが女の子だけだった、って感じなんですよ。後々、“ガールズ・バンドで良かったな”って思いました。例えば、寝泊りしながら曲制作ができたり、感覚が似てたり、そういう利点はありますよね。
逆に女の子同士で困ることってありますか?
蒼山幸子:どうですかね? よく聴かれるですけど、ねごとのメンバーは女子だけど、けっこうサバサバしてる人が多いので、女子特有の陰湿な感じみたいなのはなくて。困ったことはあんまりないかもしれないですね。
ライブとレコーディングっていうふたつの作業があったとして、それぞれ位置づけはどんな感じでしょうか?
蒼山幸子:曲を制作する上で、曲の世界観を大事にするっていうのはまず第1にあるんですけど、でも同時にライブのことは考えて制作はしてますね。例えば曲の展開とかも、ライブの時にお客さんが自然に乗れるのかとか、歌えるメロディなのかというところも気にしながら作っていたりだとか。あと、音の再現に関しては、ライブならではのアレンジもあると思うので、そこは臨機応変にやっていけたらいいねって感じで作っています。
ツアー・タイトルはいつも『お口ポカーン?!』で始まりますが、言葉の意味するところっていうのは?
蒼山幸子:今は封印してますけど、以前はパジャマでライブしてたりしたんですね。常に観た人をびっくりさせたいって気持ちがあるんですよ。音楽作る上でもそうで、こんな展開になっちゃうの?とか、なんかそういうワクワクする感じをライブでも出したいなっていうのがあって、来た人のお口がポカーンとするツアーにしたいですねっていう意味を込めてます。
バンドとしての今後の目標は何ですか?
蒼山幸子:“いつでも音楽の入り口になれるような存在になりたいね”っていうことを常々言っていて。例えばライブ・ハウスに行ったことない子が、ねごとを聴いて“ライブ・ハウスへ行ってみようかな”って思ったり、洋楽を聴いたことがない人が“洋楽にもいい曲があるんだな、1曲聴いてみようかな”とか、そういうきっかけを与えられるバンドになりたいですし、そういう曲を作っていきたいなと思ってますね。
個人としてはどうですか?
蒼山幸子:曲作りに対する探究心がすごく湧いてきているので、ねごとらしくて新しいタイプの曲っていうのも生み出していきたいです。そして、しっかり歌で魅せられるボーカリストになりたいですね。2年前だとソングライティングしている自分の方が強かったんですけど、今はボーカリストだっていう意識が強まってきているので。
まだライブを観たことない人に、ねごとのライブの醍醐味を教えてください。
蒼山幸子:ねごとって、バンド名と4人の雰囲気からして“かわいらしいのかな”って思われることが多くて。でも実際にはかなりアグレッシヴなライブをしてて。そのライブでのねごとが真実だったりするので、本当に一度ライブを観てほしいなって思いますね。
これからバンドや楽器を始めたいなと思っている中高生の皆さんにアドバイスをお願いします。
蒼山幸子:ねごとはもともとプロを目指して始めたバンドではなかったんですけど、でも本当に音楽が好きだなっていう気持ちをたどっていったらここまで来たんですね。最初から未来が見えてたわけではないし。“これ、ときめくな!”って思ったら、まず飛び込んでみるのが大事ですよね。そしたら見えてくる景色というのが必ずあるので。もし“楽器を触ってみたいな”と思ってるんだったら、まず楽器屋に行って触ってみるのもいいと思うし。興味があることはどんどんやってみてほしいですね。

Profile

蒼山幸子(vo,k)、沙田瑞紀(g)、藤咲佑(b)、澤村小夜子(d)からなる、ポップでファンタジックな要素とオルタナティブなロック・エッセンスを奏でる新世代ガールズ・ロック・バンド。2008年、10代の野外フェス『閃光ライオット 2008』で審査員特別賞を受賞。

Album

『VISION』
Ki/oon Music
KSCL-2548
¥3,100(税込)

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